パタゴニア・インターナショナル・インク事件(東京地判令和2・6・10労経速2440号17頁 )

性格そのものを解雇事由とすることは許されませんが、その性格に基づく言動等が他の従業員の士気にも悪影響を及ぼすなどして、労働契約の継続を期待し難いほど重大な支障が生じているような場合には解雇が有効となります。 また、言動等を改めるよう注意指導せずにいきなり解雇することも許されません。改善の機会を与えたのにそれでも改まらなかったといえることが必要です。



みんなで伊勢を良くし本気で日本と世界を変える人達が集まる事件(名古屋高判令和元・10・25労判1222号71頁)

本裁判例では人事部長の「明日から出社しなくてよい」という発言が解雇の意思表示に該当すると判断されています。 このような発言があれば必ず解雇の意思表示に該当すると判断されるわけではなく、発言に至る経緯等から個別に判断されることには注意が必要です。



ヤマダコーポレーション事件(東京地判令和元・9・18労経速2405号3頁)

試用期間中又は試用期間満了時の解雇のハードルは通常の解雇よりも低いですが、それほど簡単に解雇の有効性は認められません。

今回ご紹介する裁判例は試用期間満了前に解雇し有効と認められていますが、基本的には試用期間いっぱいは注意指導を繰り返し、それでも改善が見られなかった場合に解雇に踏み切るべきです。 安易な解雇(クビ)は不当解雇として無効となってしまいます。



全国資格研修センター事件・大阪地判平成7・1・27労判680号86頁

解雇をする場合、原則として30日前にその予告をしなければなりませんが、その伝え方が曖昧であると解雇予告の意思表示がなかったという争われ方をすることがあります。 解雇の場面に限りませんが、人事労務では「曖昧さ」は避けるようにしてください。